満月に思う

20代の頃、職場の先輩に大嫌いな人がいた。


仮にまさこさんとしよう。


まさこさんは、当時若かった私に、世の中のエゲツない怖いオバさん、というのものをこれでもかという程にその身をもって教えてくれた、嫌味なおばさまだった。


要するに、一般的なおばさまというか、普通の人間だっただけなんだけど、


当時の私はまさこさんの何から何までが下品に感じ、敵意を向けられては何も返せず腹ワタだけを煮え繰り返す日々だった。


本当に大嫌いだった。

理解したいとも思わない、理解しようとも思えない、そんな相手のまま忘れ去った人だけれど、私は当時まさこさんに教えてもらった病院に、今でも通院している。

なぜか当時、持病に悩む私に病院を教えてくれたまさこさん。


最近、なぜかふとわかるようになってきたのだ。


まさこさんは、あれはあれでそんなに悪くなかったんだね、と。


若くて、色んなことがまだ今のようには見えていなかっただけかもしれない。

どちらがいいともいえない。


私も歳をとり、世間一般のおばさん入りを果たした証拠かもしれない。


もう会うこともないまさこさんに、今夜はここでお礼を伝えたいと思う。


多くの優しさと、愛のむちを、ありがとうございました。


届くかな、

届くといいな、


お元気で今も笑っていますように。